介護業界のイメージと実態とは?

介護業界に対する業界外からのイメージ、世間からのイメージはどのようなものでしょうか?
そもそも業界としてイメージアップを図らなければならない理由、それはもちろん、介護で働きたい!という人を増やすためです。
少子高齢化が進む中、働く人はどんどん不足しています。正確に言えば、介護従事者の数は増えてはいるものの、高齢者が増えるスピードには追い付かない、というのが現状です。
世の中には、「介護ってこんなに素晴らしい!」といった啓もうを行う若者の団体や、夢をステージ上で発表しあうイベントなどがあります。
こうした活動によって、介護に対するポジティブな印象を持ってもらうことはもちろん重要でしょう。
一方で、介護に対するネガティブな印象を払拭する、というのも重要です。
今回、リクルートの運営するHELPMAN JAPANさんが、面白い調査結果を発表されていました。
介護職非従事者の意識調査
この調査は、介護で現在働いていない人に対して、介護という仕事のイメージ調査をしたものです。
調査の結果 – 介護に就職したくない理由
こういった調査を見るときに重要なのは、対象が誰なのか、ということ。
今回の調査は、介護で働いていない人のうち、介護に就職・転職を考えている人を6割、考えていない人を4割、といった割合にしています。
世の中一般の人のなかで、介護に就職・転職を考えている人の率はおそらく6割よりは低いでしょうから、一般層よりは介護に対して知識や理解がある集団、と見るのが適当かと思います。
肝心の結果ですが、介護に就職をためらう理由のベスト5がこちら
1位 体力的にきつい仕事が多い
2位 精神的にきつい仕事が多い
3位 給与水準が低め
4位 離職率が高い
5位 休暇が取りにくい
いかがでしょうか?
一般的に、「うん、そうだよねー」と思われるような結果ではないでしょうか。
まあ、実際に働いている人からもこういった声が聞かれることは多く、誤解である!ということは確かに言えないかもしれません。
一方で、どのくらい体力的・精神的にきつかったらいやなのか、実際どのくらいの離職率だといやなのか、というのは個人差があったりします。
調査の結果 – 事実の認知度
そこでこの調査では、実際の介護業界の事実をいくつか提示し、それがどれくらい知られているかをさらに調査しています。認知度の低かったものとしては、
- 約4割の事業所は1年以内の離職率10%未満であること
- 介護業界で働く人の5割強は残業がないこと
- 業界全体の離職率は産業全体と大きく変わらないこと
これらの項目で、認知度は15%以下となっています。
これを現在介護業界で働いている人も見た場合にも、「そんなわけない!」「周りもみんな残業してる!」「うちなんて3割以上辞めている!」といった声が殺到しそうですね 笑
そう、これらは、おそらくは介護業界で働いている人ですら知らないことなんです。
人間というものは、不満に対しては当然声を大きく上げ、同じ不満を持つ人同士共鳴し、集団となっていきます。一方で、まあ可もなく不可もなくそこそこ満足している場合には、その人たちは特に声をあげず、淡々と幸せな生活を送っているため、世の中から目につきにくいのです。
そして、皆が自分の見えている世界がすべて、という中で議論しようとするので、「こんなデータは嘘だ」「現場を知らない」といった意見になるのでしょう。
でも、実はこれが業界全体の、データに基づく「真実」です。
介護業界はどうすべき?
最後の質問として、これらの事実をすべて伝えた際に、介護に就職したくなったかを尋ねると、12%が翻意し、就職を検討したいと考えるようになったようです。
つまり、介護業界としてどうしていくべきかと言えば、こうしたファクトをしっかりと世の中に発信していくこと。またそうすると、「うちはブラックだ!」「こんなデータは嘘だ!」といった声が介護業界内から上がるでしょうから、そういった人に対しては、実際に労働環境の良い施設を積極的に提示していくことが重要です。
特に後者に関しては、そのように、労働環境の良い施設に人が集中するようになれば、人手のいない悪徳業者は業界から撤退せざるを得なくなり、業界全体が活性化するはずです。
正直なところ、この業界は2極分化が進んでいます。しっかりしている会社とそうでない会社が完全に分断されてしまっている状況ですので、業界全体で、しっかり後者の会社を淘汰していける仕組みも必要だと考えています。
CURATOR
ケアリッツマガジン運営者 Yuri
普段の業務に加えて、いろいろと記事を書いて情報発信しています。プライベートでは女子力高めなことが好きです。